1. ヘルニアセンター(ヘルニア外来)のご案内
    2. ヘルニアについて
    3. 鼠径ヘルニアについて
    4. その他のヘルニア(大腿ヘルニア・閉鎖孔ヘルニア・腹壁瘢痕ヘルニア・臍ヘルニア)
    5. 院長ご挨拶

ヘルニアセンター(ヘルニア外来)のご案内

※神奈川横浜未来鼠径ヘルニアセンターは、2022年11月28日より診察開始となります
ヘルニア外来をご希望の方は、お気軽にご相談ください。
また、当院ヘルニア外来は、通常の外来だけでなく、
鼠径ヘルニアに特化した 「神奈川横浜未来鼠径ヘルニアセンター」を開設いたしました。


こちらのページでは、腹腔鏡での日帰り鼠径ヘルニア手術についても詳細を掲載しております。ヘルニアセンター外来医師担当表は、以下をご確認ください。

ヘルニアについて

ヘルニアとは、臓器(腸管や脂肪組織)の一部または大部分が、体壁や体内の組織のスキマを通り、本来あるべき場所ではない部分にはみ出し逸脱した状態のことです。
一般的に腹部や腰、大腿といった場所に多く発生します。

以下、外来で扱うヘルニアの種類となります。

  ヘルニアの種類
  • 鼠径ヘルニア
    腿の付根の筋肉・筋膜が弱くなり、お腹の壁にスキマができ腸や脂肪組織などが逸脱したもの。
  • 大腿ヘルニア
    別名、股ヘルニア。鼠径靭帯の下から出てくるヘルニア。出産を経験した女性に多い。
  • 閉鎖孔ヘルニア
    骨盤にある閉鎖孔の中に腸や脂肪組織が入り込んでしまうヘルニア。痩せた女性に多い。
  • 腹壁瘢痕ヘルニア
    腹部手術後や外傷後の傷跡が大きく膨らんでしまうヘルニア。
  • 臍ヘルニア
    臍の周りの空洞の壁を腸が通って突き出してしまう、の名で知られているヘルニア。

この中でも最も発症頻度の高い鼠径ヘルニアについて、ご説明いたします。

鼠径ヘルニアとは?

                

鼠径ヘルニア(脱腸)とは、腿の付け根(鼠径部)の筋肉・筋膜が弱くなり、お腹の壁にスキマ(穴)ができて、腸などの一部が脱出したものです。お腹に力を入れたときや立ったときに鼠径部がふくらみ、痛みを感じることがあります。

ヘルニアを構成する3大要素

  1. へルニア内容(小腸・大網・大腸・卵巣など) 
  2. ヘルニア嚢(腹膜。この中に腸などのヘルニアの内容が入っている)
  3. ヘルニア門(ヘルニア嚢の出口)

鼠径ヘルニアになりやすい人

  • 中高年男性、やせ型の高年女性
  • 咳をよくする人、妊娠している人、激しい運動をする人
  • 便秘症、泌尿器科の症状がある人、ぜんそくや慢性疾患がある人
  • 職業柄お腹に力がかかる人、立ち仕事に従事する人

鼠径ヘルニアについて

鼠径ヘルニアの治療法は?

一度お腹の壁にスキマ(穴)ができて鼠径ヘルニアになってしまうと、お薬では治りません。
治療法は手術治療のみです。

なぜ手術をするの?

鼠径ヘルニアは絶対に手術が必要というものではありません。しかし、放っておけばだんだんと膨らみは大きくなります。
脱出した腸をそのままにしておくと、腸の通りが悪くなり、腸閉塞をおこすこともあります。とくに問題なのは、ヘルニア嵌頓を起こした場合です。嵌頓(出口のところで脱出した腸が強く締めつけられる)を起こすと鼠径部がこぶ状にふくれ、激しく痛みます。さらに症状が進むと腸管壊死(ちょうえし:腸が腐ってしまうこと)になり、緊急手術(腸管切除)が必要になります。
そのような症状を起こさないためには、手術をする必要があります。

どんな手術?

お腹の壁にできてしまったスキマ(穴)を塞ぐ手術です。

手術の方法
以前は「従来法」と呼ばれる周囲の組織(筋肉や筋膜)を糸で縫い寄せてスキマを塞ぐ方法が多く採用されていました。しかしこの方法は術後の痛みやつっぱり感が比較的強く、再発率も10%と高いです。現在は、メッシュ(人工膜)を用いてスキマを塞ぐ方法が主流となっています。つっぱり感はほとんど無く、再発率は約1%前後と成績も良好です。

当院では、傷が小さく痛みの少ない、腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を行っています。

                

年齢、全身状態、既往症などによって腹腔鏡での対応が厳しい場合もございますので、患者さま一人ひとりと相談し、より良い手術方法を選択しています。
鼠径ヘルニアの手術については、以下のとおりです。

鼠径ヘルニアの手術

  • (前方アプローチ)鼠径ヘルニア修復術でメッシュ(人工膜)を用いる方法     
    鼡径部の皮膚を約5~6cm切開し、ヘルニア嚢という袋の出口をしばり、鼠径部の弱いところを補強するのにメッシュ(人工膜)を用いる方法です。麻酔は通常、全身麻酔もしくは下半身麻酔の脊椎麻酔で行います。手術時間は1時間前後で、つっぱり感がほとんど無く術後疼痛も比較的少ないので、比較的早期に日常生活に戻ることができます。

  • 腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(腹腔内到達法TAPP法)                                     
    全身麻酔下で行う手術です。へその部位に5mmの穴(創)を開けて、お腹の中に二酸化炭素のガスを入れてふくらまし、腹腔鏡カメラを挿入してお腹の中の映像をテレビモニタに写しながら観察します。ほかに2か所、5mmの穴(創)を開け、ここから棒状の細長い手術器具(鉗子)をお腹に差し込んで手術するのが腹腔内到達法(TAPP法)です。
    手術時間は30分~60分前後です。つっぱり感は無く痛みも少ないので、早期に日常生活に戻れます。まず、腹腔鏡を用いてヘルニアを確認します。次に、ヘルニア部分に出ている腸と腹膜を内側に戻し、ヘルニアの穴を確認して、腹膜と筋肉の間に補強材をおいて固定します。腹腔鏡手術では、鼠径ヘルニアになりやすい3つ(内鼠径ヘルニア、外鼠径ヘルニア、大腿ヘルニア)の弱い部分を全てしっかりと覆うことができます。(図1)

         

         

入院期間

通常は、手術前日の午後に入院して、翌日手術を行い、術後は問題なければ手術翌日〜数日の間に退院となります。(入院期間3〜5日間)
また近年の腹腔鏡手術技術と全身麻酔の医療技術発展により、
鼠径ヘルニアなどの手術は、術後の患者様の状態をきわめて良好に保つことができるため、日帰り手術を行える場合もございます。
日帰り手術が行えれば、午前中に手術をして午後には自宅へ帰ることができるので、長期休暇を取得する必要はありません。
年齢、全身状態、既往症などを考慮しておりますが、入院期間を短くしたい方は診察時にご相談ください。

※症状によっては、日帰り手術が行えない場合がございます。ご了承願います。

鼠径ヘルニア手術特有の合併症・偶発症

どの方法で手術をしても、ヘルニア再発の可能性があります。メッシュを使わない方法では再発率は20%にも達するという報告があります。腹腔鏡下ヘルニア修復術でも0.5~1%に再発があります。また、術後の疼痛や違和感は、術式によって大きく異なります。(感じ方には個人差もあります。)
 術中合併症・偶発症

・出血
・神経損傷
・精管・精巣動静脈損傷
・腸管・膀胱などの他臓器損傷

 術後合併症

・皮下出血(内出血)
・陰嚢・鼠径部の腫張(浸出液や血液などの貯留)
・陰嚢水腫
・創感染
・メッシュ感染
・癒着による腸閉塞

 手術後の注意

手術により鼠径部の弱いところを補強しますが、手術後1ヶ月くらいはあまり重いものを持ち上げたり、腹圧をかけたりしない方が良いでしょう。日常生活(散歩、軽い運動、座業など)は、個人差もありますが退院後から可能です。詳しいことは主治医と相談しましょう。
               

その他のヘルニア
(大腿ヘルニア・閉鎖孔ヘルニア・腹壁瘢痕ヘルニア・臍ヘルニア)

当院では、鼠径ヘルニア以外のヘルニアの治療及び手術も行っております。外科で扱う数種類のヘルニアの中から大腿ヘルニア・閉鎖孔ヘルニア・腹壁瘢痕ヘルニア・臍ヘルニアについても簡単に説明していきます。

大腿ヘルニアとは

大腿ヘルニアとは、本来お腹の中にあるべき臓器(腸管や脂肪組織など)が、鼠径部にはみ出し逸脱した状態です。同じく鼠径部に生じる鼠径ヘルニアとは、逸脱する部位が異なっており、大腿ヘルニアは「大腿輪」と呼ばれる部位がヘルニア門となります。
鼠径ヘルニアよりも少し足に近い太腿あたりの部位がふくらみます。 嵌頓して腸閉塞を起こすことがあり、場合によって緊急手術が必要となることがあります。 

大腿ヘルニアになりやすい人
・やせ型の中高年女性、高年女性
・出産を経験した方

閉鎖孔ヘルニアとは

閉鎖孔ヘルニアとは、骨盤にある閉鎖孔という穴に、腸管や脂肪組織などが逸脱し入り込んでしまう状態です。鼠径ヘルニア等とは異なり、表面のふくらみには気付きにくく、症状が進行し吐き気やお腹の張りをともない、腸閉塞として見つかることが多く、緊急手術が必要となることが多いです。
閉鎖孔には、神経や血管が通っているため、逸脱した臓器により閉鎖孔が圧迫され、太ももの内側に痛みが出ることがあります。

閉鎖孔ヘルニアになりやすい人
・やせ型の高年女性
・出産を経験した方

腹壁瘢痕ヘルニア

腹壁瘢痕ヘルニアとは、腹部手術後や、お腹に外傷がある方に見られるヘルニアです。腸管や脂肪組織などの一部が腹部手術痕や瘢痕から皮膚の下に逸脱した状態です。
主な原因は、腹部手術後の傷口の感染、脂肪過多による腹壁の癒合不全です。その後、腹圧がかかったり、腹壁に張力がかかることで、腹壁の癒合不全部分が広がってしまい発症します。
お腹の表面からふくらみに気付くことが多いですが、わかりにくい場合もあります。腹痛をともなう場合もありますが、ほとんどが鈍痛や違和感程度であり、無症状の場合もあります。
激しい腹痛や嘔吐などの腸閉塞で明らかになる場合もあります。その場合は、緊急手術が必要となることもあります。

腹壁瘢痕ヘルニアになりやすい人
・開腹手術を受けた方
・お腹に外傷がある方
・慢性的な呼吸器疾患、糖尿病などの要因がある方
・喫煙されている方

臍ヘルニアとは

・小児の臍ヘルニア
臍ヘルニアとは、「でべそ」のことであり、生後へその緒を処理後、へその形成過程がうまくいかない場合に臍ヘルニアを発症します。5~10人に1人の割合で発生するといわれていますが、美容的な問題を示すこと以外には、腸などが陥頓をきたすことはほとんどありません。
子供の運動機能の発達にとともに腹筋が発達することにより、自然治癒する方向が強いですが、一部のお子様は手術などの治療介入が行われることもあります。

・大人の臍ヘルニア
臍ヘルニアは、へその奥にある腹壁のスキマが広がってしまうことで、お腹の中から腸管や脂肪組織などが飛び出てしまうことが原因です。大人の臍ヘルニアのリスク因子は、肥満・腹水・腹部膨満・女性の場合は妊娠などです。小児のヘルニアと違い、大人の臍ヘルニアは自然治癒することはありません。
嵌頓するリスクが高いため、大きくなってしまう前に手術を行うことをお勧めします。また、嵌頓したヘルニアは腸閉塞や腸管が壊死してしまうことがあり、緊急手術となる場合もあり、最悪の場合は命に係わる事態となるなため、違和感を感じたら早めに治療を行いましょう。

大人の臍ヘルニアになりやすい人
・肥満の方(膨満)
・妊娠中の方

院長ご挨拶

戸塚共立第1病院  ヘルニア外来 院長 村井 紀元 

当院ホームページをご覧いただき、ありがとうございます。上記でご案内したとおり、自覚症状があるものからないものまで、ヘルニアには様々な種類があります。治療を受けたいけれど、お休みが取れない、費用が気になるなど、皆様それぞれお悩みがあると存ます。ですが、腹腔鏡手術技術と全身麻酔の進歩により、従来よりも治療が受けやすくなっていることは、確かです。
何か気になる症状がある場合は、放置せず、まず戸塚共立第1病院へお気軽にご相談ください。お話を伺い、あなたにあった治療方法を一緒に考えましょう。

交通・アクセス

病院名
医療法人 横浜未来ヘルスケアシステム 戸塚共立第1病院
住所
〒244-0003
神奈川県横浜市戸塚区戸塚町116
無料送迎バス運行中!
電話番号
045-864-2501
FAX番号
045-865-3086